2025年12月15日
「ようこそ、ヘレンケラー女史」大毎写真ニュース
―昭和初年の報道写真は語る―「昭和は遠くなりにけり」展が千代田区一番町のJCIIフォトサロンで開かれている(12月24日まで入場無料)。
古写真収集家・石黒敬章氏のコレクションから、戦前の珍しい報道写真80点を展示しているが、「大毎」「東日」の写真ニュースも展示されている(JCII協力)。

ヘレン・ケラーさんは、1937(昭和12年)4月訪日。4月19日「大毎」(大阪毎日新聞)本社を訪れ、「点字毎日」創刊15周年の式典に出席した。「力強い祝辞を述べた」と説明にある。右端は高石真五郎主筆。


1936(昭和11)年ベルリンオリンピックの「東京日日」写真ニュースには「ベルリン―東京無線電送実験写真」と入っている。

棒高跳びは、4㍍25の記録で西田修平・大江季雄両選手が2・3位に入った。1回目でクリアした西田に銀メダルが贈られたが、帰国後、メダルを半分に切って繋合わせ「友情のメダル」となった。参考までに大江選手所有のメダル。
特派されたカメラマンは大毎写真部の高田正雄(1973年没74歳)。高田さんは、1941(昭和16)年6月から終戦の翌46(昭和21)年まで大阪本社の写真部長をつとめ、軍の焼却命令に従わずに、6万点の戦中写真を守り通した最大の功績者だ。
「毎日戦中写真」は、戦後80年の記念事業としてデジタルアーカイブ化された。
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石黒敬章さんは、NHKラジオ「とんち教室」の回答者として知られた石黒敬七さん(1974年没77歳)の長男。敬七さんは早稲田大学柔道部のキャプテンをつとめた柔道家。古写真収集家でもあり、敬章さんがそれを引き継いで「石黒コレクション保存会」を設立した。
(堤 哲)