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2022年8月15日

NHKスペシャルに元論説委員・社会部長、森正蔵さんの日記

 13日夜放映された NHKスペシャル「太平洋戦争1942」に、元論説委員・森正蔵さん(1953年没52歳)の日記が、時代の証言としてかなり使われた。

 森さんが遺した日記42冊から『あるジャーナリストの敗戦日記1945~1946』(ゆまに書房2005年刊)が出版されていたが、社会部旧友・長男の森桂さん(80歳)が入力して『挙国の体当たり—戦時社説150本を書き通した新聞人の独白』(毎日ワンズ2014年刊)を出版、NHKもここから拾っている。

 桂さんは《「挙国の体当たり」「山本元帥の戦死」「沖縄に勝つを信ず」…》《「必ず勝つ」と国民の勇気を鼓舞した。今読んでも、連合国軍総司令部(GHQ)から戦争犯罪人と名指しされてもおかしくない論陣である》と、あとがきに書いている。《辞表は受理されず、毎日新聞ではその責をすべて社長が引き受けることになった》と続けている。

 だから戦後すぐ社会部長に就任するのだ。森正蔵さんは東京外国語学校(現東京外語大)を卒業して1926(大正15)年大阪毎日新聞社入社。神戸支局、奉天、ハルビン、モスクワ特派員、帰国してロシア課長、東京に転勤して東京日日新聞論説委員になった。

 1942(昭和17)年4月18日、東京は空襲に見舞われる。その日の日記に「東部軍からの発表では、九機を撃墜したとする」とあるが、翌19には「昨日の空襲に際して九機撃墜したという当局の発表も嘘らしい」と書いている。

 そしてミッドウェー海戦の大本営の水増し戦果発表につながる。

 あとはNHKの画面から——。

画像
真珠湾攻撃を伝える「東京日日新聞」昭和17年1月1日付
森正蔵・豊子夫妻
資料を提供した長男・森桂さん

(堤  哲)

※番組の再放送、見逃し配信はNHKのホームページで確認してください。