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2022年5月20日

「ソヤッソヤッ」水野順右さんの「三社祭」掛け声考

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 断捨離中に社会部の先輩水野順右さん(88歳)の若いころの写真が出てきた。水野さんとは、ことしの正月、ある新年会で同席した。相変わらずいつまでも「もう一杯!」が延々続いた。この日は中華料理だったので、紹興酒だった。

 浅草「三社祭」が3年ぶりに復活、21、22の両日、威勢のいい掛け声とともにお神輿が浅草寺境内を練り歩く。コロナ禍で中止されていたのだ。

 その掛け声は「ソヤッソヤッ」である。浅草の支局の時、初めて見物して、「ワッショイワッショイ」と違う威勢のよさに、感動したことを憶えている。

 順右さんは、夕刊「憂楽帳」で掛け声考を書いている。1983(昭和58)年5月13日付け。

 ――東京・浅草の三社祭。「ソヤッ、ソヤッ」という独特のかけ声で神輿が人の海を渡る。昔から「ソヤッ」だったと勘違いしている人も多いらしいが、実は「そうじゃねェ」と古老が言った。何が粋(いき)で何が無粋かはわからないが、古い新聞を調べてみると確かに昭和43年ごろまで三社祭りは「ワッショイ」「ワッショイ」。45年に「ホイヤ」「ホイヤ」。56年は「ホイサ」「ホイサ」である。40年代担ぎ手が足らず、あちこちから人を集めた。祭り好きの人たちが、東京中の祭りを渡り歩いて、元はといえば神田あたりの「ソリャッ」といういせいのいいかけ声が「ソヤッ」に変わり、“粋”なかつぎ方は「ソヤッ」だと全国に広がった。

 順右さんにしては珍しく資料、毎日新聞縮刷版にあたって原稿を書いている。

 「ソヤッ」は全国に広がった、としているが、深川・富岡八幡宮の夏祭りは「ワッショイ、ワッショイ」である。

 さて、順右さん、来年の新年会でまたお会いしましょう!お元気で。

(堤  哲)