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2022年4月11日

「変わった校長がいてもいい」 元「サンデー毎日」編集次長の中根正義さんが記者から転身、新しい風に

=毎日新聞 千葉版10日付け「ひと・ちば」欄から転載

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 この春、毎日新聞の記者だった中根正義さん(59)が、千葉県柏市にある私立の進学校、芝浦工業大学柏中学高等学校の校長に転身した。一記者から約1500人の生徒を抱える中高一貫校のトップになったが、「背伸びせず地道にやりたい。一人ぐらい変わった校長がいてもいい」と気負いはない。

 35年間の記者生活のうち、約20年間は主に教育を専門に取材した。特に、週刊誌「サンデー毎日」のデスク時代は、定評のある大学合格者高校別ランキングの責任者を務め、毎日新聞の紙面では、データを元に独自の視点で大学の特色を分析するコラム「中根の目」を執筆した。その一方で、2020年10月から学校法人芝浦工大の評議員を務め、それが縁で鈴見健夫理事長から、昨秋、校長就任を打診された。柏市は少子化の中でも進学校がひしめく「激戦区」で、選ばれる学校作りが求められる中、「新しい風を入れてほしい」と要請されたという。

 千葉大教育学部出身で、4年次に教育実習で小学1年生を受け持った経験はあったものの、教育現場の経験はなく、約100人の教職員をマネジメントできるか思い悩んだ。しかし、大学の恩師から「今まで培った経験を生かしてやるべきだ」と後押しされ、与えられたチャンスを生かす決断をしたという。

 新型コロナウイルスやロシアのウクライナへの軍事侵攻など混迷の時代の教育のあり方について、情報を整理してさまざまな視点からものを見る力を養う数理思考と、グローバル化がキーワードと指摘する。「これからの教育は知識詰め込み型から、自分で課題を見つけて解決する子どもを育てることが求められる。意欲ある先生たちと対話を重ね、知的好奇心を持ったやる気のある子どもを育て、将来は社会に貢献できるような人にしたい。そのための新しい教育のモデルを提示できたら」と意欲を示す。

(橋本 利昭)

 中根正義(なかね・まさよし)さんは岐阜県生まれ、千葉県育ち。1987年毎日新聞社入社。仙台、静岡支局を経てサンデー毎日編集次長、大学センター長などを歴任。3月に法政大大学院政策創造研究科修士課程修了。趣味は旅行。好きな歌は「上を向いて歩こう」。