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2022年3月23日

YouTubeで「小川一のニュースのセンタク」配信始まる

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 ユーチューブ番組の配信を始めました。「小川一のニュースのセンタク」と名付けています。今のところ月1回程度の試運転ですが、様子を見ながら、いろいろな展開を考えていきたいと思っています。ご笑覧いただければ幸いです。

https://www.youtube.com/watch?v=3CUWVsCsr_c

 元NHKキャスターの堀潤さんが主宰する8bitnewsの協力で運営しています。第1回目の配信は、2022年3月3日午後7時半から行いました。「情報戦争への備えは ロシアの工作、日本にも?」をテーマに、毎日新聞の木許はるみ記者を招いて議論しました。毎日新聞は「オシント新時代」という素晴らしいキャンペーン報道をしています。その中で、ロシアのメディアがヤフーコメント欄の投稿内容を改ざんして伝えたり、日本の報道機関のニュースを歪めた形で報じたりしていることを明らかにしました。

 ロシアの情報工作が日本にも及んでいることを浮かび上がらせた意義ある報道で、木許記者はその取材班にいました。ロシアが米大統領選に行った情報工作は有名ですが、ウクライナ侵攻に絡んでも悪質なフェイクニュースを垂れ流しています。言葉の壁に守られていた日本ですが、他国からの情報工作はもはや対岸の火事ではなく、現実に起きていると提起しました。

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 また、番組冒頭の話題として、1987年6月に東京都東村山市で起きた17人焼死の高齢者施設放火事件の取材体験にも触れました。当時、私は警視庁担当で、事件現場から原稿を送るべく公衆電話を探していました。やっと見つけたと思ったら長い人の列。愕然としていると、私を記者と気づいた人たちは快く順番を譲ってくれ、私が「勧進帳」で原稿を送り終わると、「すごい!」と拍手までしてくれました。その思い出を紹介しながら、もし今、同じようなことが起きていたら、みんなが記者の姿をスマホで撮影し、「順番を抜かしたひどい記者」とネットに投稿し、集中砲火をうけるのではないかと指摘しました。本当に今の記者は大変な環境の中で仕事をしています。報道の信頼を高めることで、そうした状況を少しでも改善したいと番組の趣旨に付け加えました。

 8bitnewsが配信するユーチューブ番組は、これまでも私がSNSで紹介したニュースをひとつのコーナーに置き、議論のテーマにしていました。そのコーナーの名前が「小川一のニュースのセンタク」でした。今回はコーナーを番組に格上げした形です。「センタク」には、大事なニュースを選ぶ「選択」、ニュースの中にある事実誤認や虚偽を取り除く「洗濯」、ニュースから学び未来に生かす「宣託」の意味を込めています。

 毎日新聞はこれまでも率先して動画の活用に取り組んできました。2014年から始まった「注目ニュース90秒」、2017年から始まった「まいもく」など記者自らが出演してニュースを語ってきました。OB記者として、そうした流れを受け継ぎ発展させ、毎日新聞の「紙価を高める」(デジタル時代は何といえばいいのでしょうか)応援歌になれればと考えています。

(小川 一)

※小川一さんは社会部長、編集編成局長、取締役デジタル担当など歴任。現在、客員編集委員。