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2021年7月26日

「かながわキャンパる」復活、「とちぎ」「しずおか」も展開

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復活したかながわキャンパる。コロナ下の赤裸々の学生生活をつづる

  神奈川県版に7月13日、「かながわキャンパる」が掲載されました。ご存じのようにキャンパるは学生記者が書いた記事です。かながわキャンパるは、2017年3月に当時の澤圭一郎横浜支局長(現ビジネス開発本部長)がスタートさせましたが、18年から「休眠」、今回3年ぶりに「復活」しました。記事の見出しは「コロナ下のキャンパスライフ」。神奈川大学国際

 日本学部2年生の女子学生が1年3カ月のコロナ禍の学生生活を記しています。今後、「かながわキャンパる」のワッペンで、随時掲載していきます。

 私は、2020年度より、神奈川大学の授業を、網谷利一郎氏(元北京支局長)、弟の隆司郎氏(元アミューズ編集長)から引き継いで、かながわキャンパるの復活に、今年度から取り組みました。復活にあたっては、澤本部長の強力なサポートと、田中成之横浜支局長、伊澤拓也次長の全面協力を得ました。

 キャンパるは、1989(平成元)年2月、東京本社管内の夕刊で「創刊」されました。今年で創刊32年になります。私は2010年4月から担当しました。当初は『学生が書く記事なんて』と思っていましたが、原稿を見ているうちに、自分がこれまで役所や企業に頼っていた取材とは違い、学生自らが発信する情報の新鮮さ斬新さや、その肉声(コラム「すた・こら」)の面白さに、自分の考えが間違っていたことに気が付くまでにそう時間はかかりませんでした。

 次第に『東京夕刊だけではもったいない』と思うようになりました。たまたま、16年4月に宇都宮大学に地域デザイン科学部が新設されたのを機に、毎日新聞社がメディア授業を請け負うことになり、キャンパるをやっていた私が指名されました。そのタイミングで、当時の編集局長、地方部長、宇都宮支局長の全面協力を得て、「地域メディア演習」として栃木県版に「とちぎキャンパる」が月1回掲載でスタートすることになりました。

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コロナ禍の1年生座談会。まとめも授業履修の1年生=とちぎキャンパるで

 さらに、18年4月、静岡支局長に赴任した渡辺暖氏(現新聞研究本部長)がとちぎキャンパるの実績を静岡大学長にアピールしました。学長が人文社会科学部長に紹介し同学部の科目「地域メディア論」として、「しずおかキャンパる」を作ることになりました。現在、竹之内満支局長と二人三脚で取り組んでいます。「開かれた新聞」を標榜する毎日新聞ならではの紙面だと思っています。しずおかキャンパるを採用した日詰一幸・人文社会科学部長は今年4月学長に就任。さっそく、しずおかキャンパるで新学長インタビューを申し込み、7月の紙面を飾ることができました。

 キャンパる記事の特徴は、大学でいろいろな活動に取り組んでいる学生を見いだし、取材をして学生視線で記事にすることもありますが、私が一番価値を見いだしたのは、「学生そのものがニュースだ」ということです。一般に新聞記事は取材対象があって成り立ちますが、キャンパるは学生そのものがニュースですから、学生たちの活動、考えがその時代を反映するニュースとなります。ですから、今回のかながわキャンパるの記事のように、学生が1年続いたオンライン授業で感じたコロナ禍の学生生活を赤裸々につづっています。

 とちぎキャンパるの20年度のテーマは「コロナと〇〇」。コロナとプロスポーツ、コロナと授業、コロナとサークル活動など学生記者の立場から、「コロナの今」を記録しています。普段の取材では出てこない学生ならではの「キーワード」も豊富で、毎日新聞のデータベースの充実に貢献していると密かに自負しています。

 学生の座談会も積極的に行っており、とちぎ、しずおかキャンパるをオンラインで結んだ座談会も紙面を飾りました。

 とうきょうの夕刊キャンパるは1年生から4年生までスキルが継続していきますが、大学の授業では前期・後期で授業が終わります。せっかく学んだスキルを途切らせるのはもったいないので、各大学で履修経験者を中心にサークル化しています。宇大は「とちぎキャンパる編集室」、静大が「しずおかキャンパる編集部」、神大は「みなとみらいマスコミ研究会」です。現役履修生とも連携し、紙面の充実に努めています。

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 日詰静岡大学学長はインタビュー=写真=でしずおかキャンパるの活動について、「講義修了後も学生が主体的に行動しているのは理想的な形だと思う。継続していくことが大事」と高く評価しました。かながわキャンパるの記事も神奈川大学の国際日本学部長から「学生の側からのオンライン授業や今年度の目まぐるしい変化などを証言した、すばらしい記事のように思い、学部HPでも紹介したいと思います」との連絡をいただきました。

 最後に。夕刊キャンパるを担当していた時に実感したのは、同じ世代の大学生より、大学生を子供や孫にもつ親、祖父母世代によく読まれており熱心な愛読者が多いということです。親にキャンパるを紹介され大学生になって入部を希望する学生が結構います。これは読者対策として、毎日新聞が他社の追随を許さない強みではないでしょうか。現在、教育事業室で、毎日新聞デジタル内サイト「@大学倶楽部」で、約80会員大学のニュースリリースの編集・掲載を担当しています。会員大学の学生広報委員会の組織化も考えており、このネットワークと、「キャンパる」の有機的な交流を盛んにして、毎日新聞の紙面、デジタルのさらなる活性化に取り組んでいきたいと思います。

(内山 勢)

 内山勢(うちやま・つよし)さんは1959年、新潟県上越市生まれ。中央大経済学部卒。83年入社。山形支局を皮切りに、サンデー毎日編集部、大阪社会部、高松支局、経済部、日本BS放送(BS11)出向などを経て、2010年4月から20年3月までキャンパる編集長。2019年6月定年退職。同年7月からCS(キャリアスタッフ)として、ビジネス開発本部教育事業室で、毎日新聞デジタル内@大学倶楽部サイト運営の傍ら、宇都宮大学(とちぎキャンパる)、静岡大学(しずおかキャンパる)、神奈川大学(かながわキャンパる)の授業と紙面制作に携わっています。