2020年1月16日
「出版社を引き継ぎました」と社会部OB滝川徹さん

「出版社を引き継ぐなんて、よく火中の栗を拾う気になったね」。業界の集まりに行くと、心配そうに声を掛けられる。苦笑しながら「まあ、なんとか」と答えるのだが…。
ほぼ1年前に「株式会社海象社」を引き継いだ。そのいきさつは後述するとして、最初に手掛けた「石橋をたたいて渡るネット株投資術~シルバー世代の小遣い稼ぎ」(1460円+税)を説明させてください。
年金だけでは老後の生活に2000万円足りないとの報告書が昨年話題になったのはご存知の通り。優良会社を定年になって十分な企業年金をもらっている人たちは別として、(わが社を含め)一般的には年金だけでは暮らしていくのが精いっぱい、なかなか優雅な老後は送れません。でもたまには家族で温泉旅行したり、話題のレストランで友人と食事したり、ちょっといいコースでキャディ付きゴルフをしたいじゃないですか。
しかし、安倍政治による実質ゼロ金利で100万円を1年間定期預金しても金利は100玉1個のみ(さらに税金がひかれる)。証券会社で株式投資や投資信託しても儲かるとは限らないし、損したとの話もごろごろしています。それでも、手数料が8分の1で済むネット株取引を活用して「ローリスク、ほどほどリターン」を心がければ、楽しく活動的な老後を送れる程度は稼げますよ、という本です。
情報を集めて頭を使うことでボケ防止にもつながります。一攫千金なんて求めません。筆者は日経新聞の元諭説副主幹で環境問題の著書が多い三橋規宏さんで、7年間、年平均15%の利益を出した自身の実践報告です。
海象社は20年前に創設され、「ローカーボン グロウス」「環境立国日本の選択」「原発からの命の守り方」など約50冊の本を出してきたが、社長が大病を患い「後継者がいなければ廃業しかない」状況を知人から知らされ、再就職先を辞めてヒマだったこともあって手を挙げた次第です。
先が見えない出版不況の中、取次ぎとの慣行的な商習慣、印刷の値段の複雑さ、アマゾンの無礼で一方的な仕切り~など苦労と出血は重ねているけれど、活字文化を守るため微力は尽くしているつもりです。「こんな本を出したい」などあれば、ぜひご連絡を。連絡先や出版本は海象社のホームページを見てください。
(滝川 徹)
滝川氏は71歳。定年退職後、「海上保安新聞」「エネルギーと環境」編集長をつとめた。「日本環境ジャーナリストの会」発足時(1991年6月)からの会員で、元会長・理事。