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2019年8月14日

戦艦武蔵の生き残り塚田義明さんの、もうひとつの闘い

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 ことしもまたNHKスペシャル「戦艦武蔵の最期」が再放送された。「戦艦武蔵」の生き残り、社会部の先輩で、皇室ジャーナリスト塚田義明さん(現92歳)が映し出された。

 塚田さんは、1942(昭和17)年、中学2年のとき、第1期海軍練習兵(特別年少兵)を志願。砲術学校を卒業して、「武蔵」の乗組員となった。16歳だった。

 全長263メートル、最大幅38・9メートル。排水量6万4千トンの「不沈艦」は、1944(昭和19)年10月24日のレイテ沖海戦で米軍機の爆撃・魚雷を受け、沈没する。

 「乗組員2399人のうち生還者は430人。沈没時に救助された乗組員(1千人以上)の多くが陸上戦に動員され玉砕した」

 塚田さんは、著書『戦艦武蔵の最後:海軍特別年少兵の見た太平洋海戦』(1994年光人社刊)で、その悲劇を克明につづり、文庫本にもなっているが、吉田裕著『日本軍兵士』(中公新書)は、この著作から「水虫との戦い」の部分を引用している。

 《戦後、色々な水虫治療薬が出て、そのつど試してみたが、かえって炎症を起こし、真っ赤に腫れあがって、歩くことができないほど、ひどい目にあったこともあった。わが水虫のしつこさにはうんざりだったが、昭和が平成に改まり、やっと私にあった治療薬に巡り会い、二年越しの根気ある治療が実って、やっと退治したのだった。じつに、半世紀に及ぶ水虫とつきあってきたわけで、オーバ-な言い方をすれば、これで私の戦後は終わった。それが実感であった》

 塚田さん、いつまでもご長命で、戦争の悲劇を語り続けてください!

(堤  哲)