2018年4月25日
80歳の現役事件記者は、毎日新聞OB

この顔を知っている人も少なくないと思います。
中京テレビ三重支局の服部良輝さん。三重県警本部を担当する現役記者で、5月末で引退するという記事が地元「伊勢新聞」などに報じられた。
各紙の記事を総合すると、服部さんは、津市香良洲町出身。農家の四男坊で、地元の定時制高校を卒業して、21歳の時に、毎日新聞津支局の運転手になった。「特勤」である。
クルマの運転だけが仕事ではない。出先のクラブや通信部から電話で入る原稿を受ける。IT時代では考えられないことだが、原稿はざら紙に鉛筆で書いた。
写真の現像も任される。その前に、現像液や定着液をつくらなければならない。これは事務補助員の仕事になっていたが、「特勤」さんもよくやらされていた。
出先から送られるフィルムを現像→焼き付けして写真ができると、次は電送にかける仕事が待っている。
そのうちデスクから「スケッチ写真でも撮ってきてよ」などと写真撮影を頼まれる。
事件・事故の現場には、記者と一緒に出掛けて、報道合戦の仲間入りする。
入社直後に、死者・行方不明5千人余を出した伊勢湾台風に見舞われた。1961(昭和36)年の名張毒ブドウ酒事件では、現場の聞き込み取材に動員された。
39歳の時、鈴鹿支局へ異動。記者職に転身した。1993(平成5)年に毎日新聞を定年退職。その後、中京テレビに再就職。三重県警本部の記者クラブに常駐して24年になる。県警本部の有名人であえる。56歳から詰めているから、現在80歳の事件記者である。
各紙の見出しは――。
「書かなあかん」 80歳記者、孫世代とスクープ合戦(朝日新聞)
80歳の現役記者「事件から逃げたらあかん」若手にエール(産経新聞)
スクープ追い続け50年 津出身の80歳記者、服部さん引退へ(伊勢新聞)
むろん中京テレビの番組でも報道された。
記事にはこんなことも書かれている。
「けがは? 現場は信号あるん?」。交通事故について警察署に電話取材する力強い声が記者クラブに響く。周囲の記者がパソコンを使う中、取材が済むと愛用の軟らかい3Bの鉛筆で原稿用紙に記事を書き、ファクスで送信した。
服部さん、お元気で。毎友会も応援しています。
(堤 哲)