2025年7月18日
ズボラは料理の真髄――「憂楽帳」のとばっちり随筆
定年後ズボラクッキング。そんな言葉を勝手に作って、酒のあてと夜ご飯のおかず作りに日々励んでいます。たどりついた境地は「ズボラこそ料理の真髄」。おいしいかどうかは全く別問題。これも結論です。
仕事を終えて、余生をどう過ごすか。深く考えるのは面倒なので、家の中でできることに絞り、安直に料理を選びました。現役時代は家で夕食を囲むことなど皆無に近かったので、その罪滅ぼしでもあります。
とはいえ、包丁など握ったころのないド素人。料理のレパートリーなどありません。ただ、居酒屋さんはよく行ったので、そこのメニューをまねすることから始めました。ただし、どう作ればいいのかは当てずっぽう。ショーウインドーのサンプルを見ただけで挑戦したこともあります。たいていは全く別物になりますが、「オリジナル料理」と評価をあげてしまうのです。
どうせ食べるのは私と妻だけ。妻はおかずができるまで、テレビで韓国ドラマか中国ドラマ、または大相撲を見ていて、「できたでぇ」の言葉を待っているだけなので、文句など言える立場ではないのです。それでも、食べてくれる人がいるから作るわけで、私も偉そうには言えません。
レシピは覚えません。文章にしてしまうのです。以前、毎日新聞が大阪府豊中市と池田市で、実験的に地域の新聞を発行し、定年で閑をしていた私は編集長にされました。新聞は休刊(実質廃刊)になりましたが、ウエッブサイト「マチゴト」は私が個人的に引き継ぎ、そこに「編集長のズボラ料理」と題して駄文を掲載しているので、覚える必要はありません。
定年後20年近くになるので、800話を超えました。その数だけの簡単なレシピも載っています。読みたい方は①http://machigoto.jp/ を入力するか、マチゴト豊中池田で検索②編集長のズボラ料理で検索してください。ただし、整腸剤を用意した方がいいかもしれません。
ブログ「奈良大好きくらぶ」(https://naradaisukikurabu.hatenablog.com/ )には、「酒のあてにいかが」というごくシンプルなレシピを掲載しています。
奈良支局勤務だったころに知り合った遊び仲間が同じころに定年を迎え、「余生に何かしよう」と、資金として退職金のごく一部を出し合いました。1か月か2カ月に1度集まり、「何をするか」を考え続けて18年になります。拠出金はとっくのとうに酒代に消えてなくなりました。何をするかの結論は未だ出ていません。
唯一形になったのが、ブログです。「酒のあてにいかが」は400を超えました。もし関心があれば、読んでみてください。悪酔いしても、責任は追いかねますが。
夏らしい食べ物を1つ。ナスを縦に薄く切ったうえで細く切り、カタクリ粉をまぶして、サッと熱湯に通し、すぐ氷水で冷やして、そうめんつゆで食べます=編集長のズボラ料理(29)ナスそうめん。
ブログからも1つ。厚い切り身の冷凍イカを解凍したあと、包丁で両面に格子状の切れ目をいれます。明太子を少量のみりんと白だしで伸ばし、イカの両面に塗ってオーブンで焼きます=酒のあてにいかが(417)イカのメンタイコ焼き。


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7月16日の夕刊に、井上大作・奈良支局長の憂楽帳が載りました。私が高松支局長だった時に、新人として赴任した後輩。その当時のしょうもないことを書いています。事前連絡はなく、「事後承諾で申し訳ない」と、スマートフォンに留守番電話が入っていました。
それを読んだ東京毎友会の方から、「何か書け」と指令があり、駄文を長々と書いてしました。とんだとばっちりですが、読む方はとばっちりの2乗でしょう。憂楽帳のおかげで、井上支局長と20数年ぶりに飲みに行くことになったので、文句を言っておきます。ついでに、居酒屋メニューを盗んでくるつもりです。

(元大阪地方部、梶川 伸=70入社)