2025年4月14日
特ダネ記者中島健ちゃんのオンデマンド出版『事件記者』
68入社中島健ちゃん、いや失礼、元常務取締役中島健一郎氏(80歳)から最新刊『事件記者』が送られてきた。副題に「今だから明かせる真相、そして裏話」とあるように、数々の特ダネを取材した経緯を詳しく書いている。デカさんの実名まで出てくる。面白い。

事件記者健ちゃんの取材は、オーソドックスだ。捜査機関からの情報だけでなく、疑問に思ったら、現場へ行って関係者から取材をする。新聞記者なら当たり前のことなのだが、健ちゃんの行動力、人に好かれる明るい性格が、特ダネに結びついているように感じる。
先日、「二金会」のズーム講演で、『追跡 公安捜査』の著者、社会部遠藤浩二記者(2008年入社)の話を聞いたが、警視庁公安部の冤罪事件「大川原化工機事件」に加え、警察庁長官狙撃事件まで、地道な取材で隠された事実をつかみ、報道する。
捜査機関からのおこぼれの情報ではなく、夜討ち朝駆けの取材を通じて、「真実」に迫る。健ちゃんの特ダネ取材と、重なるのである。
三億円事件、浅間山荘事件、連合赤軍リンチ事件……。健ちゃんがどう取材して、特ダネをものにしたか。オンデマンド出版です、以下をクリックして下さい。定価2,200円。
◇
本の中にも紹介されているが、健ちゃんは東大時代、美術サークルに属していた。5年前、銀座の画廊でOBが回顧展を開いた時、こんな写真も展観された。

左側でスプレーを噴出させているのが健ちゃんだ。「美術界の潮流『ハプニング』を新宿で遂行」と説明にあった。
ハプニングの健ちゃんは、このあと新宿の街を素っ裸で駆け抜ける「ストーリーキング」も演じた。
その健ちゃんが、駆け出しの長野支局時代に、浅間山荘事件、連合赤軍のリンチ事件で特ダネを放ち、当時の警視庁キャップ山崎宗次さん(1987年没52歳)に呼ばれ、72年4月社会部へ。サツ回り1か月で警視庁捜査一課担当になり、事件記者の道を歩んだ。
ロッキード事件でも数々の特ダネをものにした。ワシントン特派員→社会部長→事業本部長などを歴任、常務取締役で退職。現在は千葉県市原市で、自然と調和した持続可能なコミュニティー「土太郎(どたろう)村」づくりに全精力を傾けている。
この試みは、朝日新聞千葉県版2017年1月1日付、正月紙面の全面を埋めて《20XX年「土太郎村」独立》と報じられた。未来の村のモデルとして紹介された。
私(堤)は、長野支局の4年先輩で、警視庁クラブとロッキード事件取材班で一緒に仕事をしたが、健ちゃんが「特ダネ」といって、警視庁クラブの電話で原稿を吹き込むのを何回も目撃している。頼もしい後輩であった。
(堤 哲)