新刊紹介

2025年9月22日

本間浩昭著『見えない壁—北方四島の記憶』

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 角川書店のHPにある紹介——。

 占領の恐怖、強制混住、国籍の選択――政治に翻弄された国境際の人々の記録

 日本で最も大きな島、択捉島、二番目に大きな島、国後島。そこに色丹島、歯舞諸島の面積を合わせれば実に沖縄本島の4.2倍にもなる。

 これらの島々は、北海道の目と鼻の先にある。最も近い歯舞群島の貝殻島までの距離は、北海道根室市の納沙布岬からわずか3.7kmだ。

 この国境の島々にはかつて、人々が暮らしがあり、1万7000人もの人々が生活を営んでいた。

 しかし日本がポツダム宣言を受諾し、降伏を表明してから約2週間後、ソ連はこの島々に侵攻、平穏だった島民の暮らしは一変する。

 そこから人々の運命は大きく分かれていく。脱出して北海道にたどり着いた人、船の中で命を落とした人、あるいは現地に残り後にロシアに渡った人……

 新聞記者として30年以上にわたって根室に住み、当時の記憶を持つ人を訪ね続けてきた記者による唯一無二の調査報道。

 戦争が人々にもたらす負の影響を見据え、北方四島の解決策を見通す。

 四六判320㌻。定価:2,200円(本体2,000円+税)ISBN:9784041052532

 本間浩昭さんは、1985年同志社大学文学部卒。87年入社。北方領土最前線の街・根室勤務は89年以来というから、足かけ37年になるのか。旧石器発掘ねつ造事件の調査報道チームの一員として2001年、日本新聞協会賞受賞。

 共著に『知床・北方四島』(カラー版岩波新書、2008年)『エゾシカを食卓へ』(丸善プラネット、1998 年)など多数。

(堤  哲)