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2024年5月1日

社会部の東海林智さんが講演―「第5回KOMOKのつどい」開く

 コロナ禍が一段落したのを機に、4月16日、後楽園・涵徳亭で「第5回KOMOKのつどい」を開催した。最初に東海林智・毎日新聞社会部記者が「労働運動にストライキ復権―働く者の尊厳を取り戻す時、そごう・西武労組のストが教えること」と題して以下のように講演した(概要)。

 24春闘は1990年代以降、33年ぶりに最高の賃上げになったと報道されているが、果して労働者が闘って勝ち取ったものか。「政=岸田政権の支持率浮揚の道具」、「労=先進国最低の賃金レベルを引き上げたい」、「使=人手不足対策と法人税引き上げへの牽制」といった、政労使の同床異夢の結果であり「賃上げが約束された春闘」だったのだ。

 UAW(全米自動車労組)の日本でのパートナーは、自動車労連や連合だが、今年の春闘では、ストで闘う全労連に連帯のメッセージを送った。UAWに限らず、世界各国で物価高で労働者が苦しくなる中、ストライキで経営者に賃上げを迫るのは当然の流れだ。ドイツの有名な地裁判決には「スト権を背景にしない賃金交渉は集団的な物乞いである」との文言がある。全労連の「労働組合のバージョンアップ」はまさしくこうした狙いの方針だ。

 昨年8月、連合傘下の「そごう・西武百貨店」労組(UAゼンセン加盟)の約900人が、池袋本店で1日のストライキに突入した。このストの結果、売却は阻止できなかったが、スト権を立てる前の団交では一切出てこなかった売却に関する情報が出てくるようになり、団交出席を拒否していた親会社、セブン&アイの社長はじめ幹部が団交に出席した。

 今や、全労働者の4割にもなっている「非正規労働者」問題。結果として、日本の労働者賃金は低下し“安いニツポン”になった。最低賃金、実質賃金……どの項目を見ても、G7など主要国の中では最低レベルの賃金水準。大差があったはずの韓国にも実質、最賃ともに追い抜かれている。新時代の日本的経営が全ての失敗の源だ。経団連の政策起案者自身が「やり過ぎた」と震えるような結果になっている。

 正規、非正規に限らず人間らしい暮らしへの要求を諦めないことだ。黙っていても誰も変えてはくれない。自ら声を上げることでしか変わらない。帯のように連なって社会を変えていく。それが連帯であり労働組合の使命だ。ILO(国際労働機関)のフィラデルフィア宣言は「労働は商品ではない」と宣言した。私たちは、人間らしい暮らしもできない低賃金で扱われる商品ではない、人としての尊厳をかけて、この状況を打開しよう。そこに希望があり、そこにしか希望はないのだ。

 東海林さんの熱弁は、毎日新聞労組で闘ったOBたちの心に響いた。

 続いて交流会。最初にKOMOK結成後の8年間に亡くなられた会員と会報をお届けしてきた28人のみなさんを追悼して黙祷。5月に90歳を迎える宮田貞夫さんがカンパイ。田村徳章代表の挨拶に続いて、近況と思いを語り合いました。KOMOK行事の会場となった水道橋の「余白」を経営した亀山久雄さんは、脳梗塞を乗り越えてみか夫人と一緒に元気に参加した。

【参加者】写真後列左から亀山みか、成田紀子、亀山久雄、芳尾孝治(内外タイムスOB)、奈良秀行、江守信正、石井忠治、福島清、石原尚樹、水久保文明。前列同・小川忠男、宮田貞夫、東海林智、戸塚章介、田村徳章、岩田健一のみなさん。(永井浩、田村みどりさんは所用で途中退席)。

 KOMOK(日本共産党を応援する毎日OBの会)は、2016年1月23日に結成。代表=田村徳章、世話人=赤川博敏、石井忠治、江守信正、大貫安弘、小川忠男、亀山久雄、坂戸悦偉、鈴木章夫、田場武勝、戸塚章介、成田紀子、福島清、水久保文明、山野井孝有のみなさん。(これまでに、大貫、坂戸、鈴木、田場さんが故人に)

 以後、国政選挙での日本共産党支援の呼びかけのほか、「つどい」を4回開催。第1回は、2016年10月、「領土解散政局と共産党」と題して倉重篤郎さん。第2回は2017年12月「安倍政治と2017衆院選 そして日本共産党」と題して椎橋勝信さん。第3回は、2018年12月「『イラク日報』のメディアリテラシー」と題して永井浩さん。第4回は2019年12月「メディアの女性たちの#Me Too運動」と題して明珍美紀さんがそれぞれ講演した。

 お互い、歳を重ねているが、「すべての人が十全に生きるために」の理念のもと、「さあ、これからだ!」と元気いっぱいだ。

(福島 清)