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2024年1月12日

いつも和服姿 「行動する書家」毎日書道展審査会員・高野早苗さんの「墨卜会」書展

 毎日書道展審査会員・高野早苗さん(81歳)主宰の第24回「墨卜会」(ぼくぼくかい)書展が11日から銀座1丁目のポーラミュージアムアネックスで開かれている(14日まで、入場無料)。

 高野先生の作品は、「変」と「不将不迎慶而不蔵」(おくラズ、むかエズ、おうジテしこうシテおさメズ、荘子より)の2点。

 「変」は、「新しい年が、日本が閉塞状況から抜け出すよう変わってほしい、という気持ちで書いた」という。

 開会のあいさつで「第2回展は2000年に銀座石川画廊で開いていますが、能登半島・金沢を会員とともに旅をした思い出があります。新年早々の被災に複雑な気持ちです」と述べた。続いて毎日書道会専務理事、徳増信哉さん(元政治部・事業本部長)=写真左=が乾杯の音頭をとった。

 墨ト会には、能の第一人者、観世栄夫さん(2007年没79歳)、コスモ石油元社長、住吉弘人さん(08年没85歳)など、さまざまな分野で活躍する会員がいた。

 一昨年までは、元朝日新聞の轡田隆史さんが司会・進行を担当していたが、2022年8月に亡くなった。86歳だった。

 轡田さんは、元早稲田大学ア式蹴球部(サッカー部)の選手。59年朝日新聞に入社。夕刊コラム「素粒子」を8年も担当。その後、テレビ朝日「ニュースステーション」のコメンテーターを務めた。

後ろのマスク姿が名物女将藤波須磨子さん(86歳=当時)

 轡田さんの写真が、この毎友会HPに載っている。有楽町ガード下の「ミルクワンタン」が閉店する最後の日(2021年4月23日)に私(堤)が写真を撮りにいくと、カウンターの真ん中に轡田さんがいたのだ。

 「私はね、サツ回りがマルケイ(丸の内警察署)で、ここは縄張りなのよ……」

 その時の写真を使って、有楽町ガード下事情に詳しい諸岡達一さん(59年入社、そうか轡田さんと同期入社なのだ)が「さいたま市の自宅からわざわざ閉店を見届けに来るなん、ヤジ馬の極みではある……いや、社会部記者の鏡であるね」と紹介した。2021年5月11日付随筆集「ミルクワンタン最期の夜」である。

 さて、この会の主宰者高野さんに戻って、毎日新聞で紹介された略歴を。

 新宿区四谷生まれ/実践女子大国文学科卒/毎日書道展審査会員/独立書人団審査会員/錬心書道会・同友書道会・墨ト会主宰

 「会員は、みな個性的で、愉快な人たちばかり。稽古の場には、初夏のような爽やかな風が吹き抜けているのです」

 轡田さんは、「ある時は雪の舞う長野オリンピックの金メダルの大ジャンプを仰ぎ見る。またある時は太陽に輝くアンコールワットの巨大な石仏を仰ぎ見る……」と、高野早苗個展「書装Ⅱ」の讃にこう書いている。

 《恐縮にも私を「行動する書家」として描いてくださった》と高野先生。

(堤  哲)