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2023年12月22日

元情報編成総センター副部長、柴沼均さんが日本財団への寄付などで、紺綬褒章受章

 このたび、国から紺綬褒章をいただきました。「公益のために多額の私財を寄付した」人に天皇陛下から贈られるものです。渋沢栄一や松下幸之助、最近では安室奈美恵さんや原辰徳さんなど錚々たる受賞者をみると、しがない現役の新聞記者である自分が加わるとは異例かつ驚きです。正直、介護と母の死など暗い日が続いていたけれど、心が晴れた気がします。

 2020年に毎日新聞社を退職したとき、過分の割増退職金を頂きました。使う当てがないので米国株投信に突っ込んだところ、コロナショックの反動で2倍以上に。さらに再就職も決まり、もともと妻も正規雇用で一家そろって贅沢はしませんので経済的に余裕ができました。一方で、コロナ禍で苦境に陥る人は増加し、毎日新聞時代に貧困問題や家計担当をしていたこともあり、自分に余裕があるならば困っている人を助けたいと寄付を続けています。

 22年に日本財団の社会的養護の子どもたちの奨学金に、23年にはプラン・インターナショナル・ジャパンの孤立している若年女性のための居場所プロジェクト「わたカフェ」にそれぞれ500万円を寄付。このほか5団体に少額ですが継続的な寄付を続けています。こうした活動が評価されました。

 勲章と違い皇居ではなく寄付先の団体で伝達式が行われます。世田谷区のプラン・インターナショナル・ジャパンの事務局で伝達式が行われました。わたカフェの利用者は虐待など大人から酷い目にあった経験のある子も多いそうですが、親身になる職員の方以外にも応援してくれる大人がいることに喜んだそうです。大人として困ってる若者に少しでも手助けできたのはうれしい。

 紺綬褒章は寄付を日本に根付かせるために1918(大正7)年に始まりましたが、実は日本人は寄付が嫌いです。英国のCAF(チャリティーズエイド財団)が発表した世界寄付ランキング(2022年)で日本は下から2番目の118位。アフリカの貧しい国よりも下なのです。カネがないから寄付をしないのではありません。

 こうした状況に対して国内屈指のファンドマネージャー、レオスキャピタルの藤野英人社長は「寄付も投資もしない日本人は“お金が大好きな守銭奴”」と喝破します。それでも経済コラムニストの大江英樹さんの著書「となりの億り人」によると、今の現役世代で着実に資産を増やしている投資家は寄付を好む傾向にあるとあります。寄付をすれば充実感、多幸感が得られるというのです。最近はいろんなクラウドファンディングも目につくようになりました。

 僕も家計に余裕があるから贅沢するよりは、社会に少しでも貢献したいという気持ちに賛成して実践することで精神的なメリットを得ています。同時に僕のようなちっぽけな人間でも寄付をして喜んでいる姿をみてもらい、僕より優れた皆様方にも寄付をはじめるきっかけになればうれしい限りです。

 なお、2年間でかなりの額を寄付して手持ちの資金はだいぶ少なくなったので、今後は毎月少額の寄付を続けていきますが、金持ちとはほど遠い経済状況ですので誤解のなきよう。

(柴沼均=フェイスブック転載)

柴沼均さんは、元毎日新聞生活報道部副部長、情報編成総センター副部長。現在日本証券新聞記者。