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2023年5月11日

将棋観戦記者37年、山村英樹さんに注目!

 大変な将棋ブームである。11日付朝刊には藤井聡太王将(20歳)が第71期王座戦の挑戦者決定トーナメントで初戦を突破、ベスト8に進んだという記事が載っていた。

 見出しは「藤井、8冠へ好発進」。藤井は8つのタイトルのうち6つを保持(竜王、王位、叡王、王将、棋聖、棋王)。現在名人戦7番勝負で渡辺明名人(39歳)に挑戦中で、王座戦で次戦から3連勝して永瀬拓矢王座(30歳)の挑戦者になれば、年内8冠達成の可能性がある、というのだ。

 今期の王将戦も羽生善治九段(52歳)が挑戦者となり、話題を呼んだ。勝負は、藤井王将が4勝2敗で羽生九段を退け、王将位を初防衛したが、週刊文春は今週発売の5月18日号から連載「いまだ成らず 羽生善治の譜」を始めた。

 筆者は、ノンフィクション作家鈴木忠平さんだが、いきなり毎日新聞の将棋観戦記者山村英樹さんが登場する。

 山村さんは1958年生まれ。京都大学囲碁部OBで、81年入社。86年東京本社学芸部に異動、囲碁・将棋の担当になった。観戦記者歴37年の大ベテランである。

 羽生は1970年生まれ。85年に中学生でプロ棋士となり、89年初タイトル竜王位を獲得。1996年2月14日、全7タイトル(竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖)を独占した。そして2017年12月、初の永世七冠(永世竜王、十九世名人、永世王位、名誉王座、永世棋王、永世王将、永世棋聖)を達成した。名誉NHK杯選手権者の称号も保持、2018年に棋士として初めて国民栄誉賞を授与されている。

 羽生が名人位に初挑戦したのは、第52期(1994年度)。相手は、前年に長年の宿願を果たして初の名人位を史上最年長で獲得した50歳の米長邦雄(2012年没69歳)であった。

 連載第1回の最後に、米長の名人位就位式の模様が出てくるが、その会場に22歳の羽生がいた。米長は挨拶で、次の挑戦者は羽生になるであろう、名人位は1期で終えることを示唆している。

 山村観戦記者の活躍を含め、連載に注目だ。

 ネットで検索していたら、山村記者の名人戦の解説があった。参考までに。

 「将棋の棋士は江戸時代から存在しますが、当時は幕府の保護下にありました。プロのタイトル戦はそれまで世襲制だった名人を実力制にしたのが始まりで、毎日新聞の前身である東京日日新聞が企画しました。当時は娯楽が少なかったので、囲碁・将棋を新聞に載せれば読者の興味を引けると考えたのです」

(堤  哲)