元気で〜す

2023年10月23日

40年間の試写室通いとWEB「野島孝一の試写室ぶうらぶら」

 高尾義彦さんが、私が書いた「試写室ぶうらぶら」を読んでくれて、82歳になったと知り、この稿を書くように勧めてくれた。私は学芸部の映画記者として1980年代から試写室めぐりを始め、今も電車に乗って出かけている。映画は、日本映画だけではなく、アメリカを初め世界各国の映画が毎週何本となく公開されている。本来なら片端から見ていかなくてはいけないのだが、さすがにくたびれてしまって無理だ。

 それにしても映画の数が多い。日本映画はアニメや大手映画会社の作品を除いては、かけてくれる劇場も限られているというのに、そんなに作ってどうするの、と思うほどだ。束になって送られてくる試写状を見るとため息が出る。

 若いころにはカンヌ国際映画祭などで朝から夜中まで1日5本程度は見ていたことがあり、それが当たり前だと思っていた。最近では試写室での試写は1日に1本程度しか見ていない。だが、コロナ禍以来オンラインの試写も増えたので、時間があれば家でオンライン試写を見ることも多々ある。でも到底見切れるものではない。見逃した作品の中に傑作があったのではなかったかと、うじうじすることもある。

 試写室は各映画会社が自前で用意することもあるが、貸し試写室もかなりある。試写室はなぜか渋谷、六本木、銀座あたりに集中しており、自宅から電車で時間をかけて向かわなければならない。昔は銀座にフィルムビルというのがあって、洋画各社の映画をまとめてみることができた。今考えると夢のようだ。

 試写を見ての感想や批評は、webの「野島孝一の試写室ぶうらぶら」に書いている。また週刊エコノミストにも月1回映画評を書かせてもらっている。「試写室ぶうらぶら」は、アニープラネットという映画の配給・宣伝会社の設立を手伝ったのが縁で、そこのHPに書くように依頼された。もう20年以上も週1回更新を続けている。回数も900を超えたので、1000回ぐらいはいけるのではないかと思っている。

 映画を見るということは、2時間程度は椅子に座っていなければならない。腰痛持ちなどでは務まらない。 前立腺肥大で頻尿になったときには、本当に困った。今でも2時間を超える映画の時には、ひやひやしている。高齢者になると、昼間でもやたらに眠くなるときがあり、もしかしたらいびきをかいているのではないかと、あたりをそっと見回すこともある。

 いつまで試写室に通えるかはわからないが、私より年上の評論家を試写室で見かけることもある。そんなときはほっとする。以前は佐藤忠男さんや、山根貞夫さんなどが試写室の常連で、あいさつを交わしていたのだが、亡くなられてしまった。最近は試写室で会う顔ぶれも若返って、知らない人が多くなった。

 一番やばいと思うのは試写室でどうかなることだ。倒れたり、急死してしまっては迷惑がかかってしまう。そのためにも健康には気をつけなくてはならない。2022年に愛犬が死んでから朝の散歩代わりに井の頭公園西園のグラウンドをゆっくりと走っている。ウォーキングの女性に抜かれるぐらいの、のろのろ走りだが、血圧も下がって電車に乗っての試写室通いが苦にならない。いつまで試写室をぶらぶら歩きできるかわからないが、もうちょっとはこの調子でいきたいと思う。

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(元学芸部 野島孝一)